2007年10月06日

特別展『女性と祈り-信仰のすがた-』

琵琶湖文化館で開催される特別展を紹介します。

 神仏に対する信仰とは本来無垢な心の現れであり、老若男女、貴賤を問わず行われてきました。仏教における日本で最初の出家者は女性であり、奈良時代から平安時代にかけて国家仏教としてその興隆を見たのは、光明皇后や称徳天皇などの力によるところが大きかったといえます。鎌倉時代以降、仏教の信仰層が広がるにつれ、女性は発願者や結縁者、制作者といったさまざまな形でその信仰を表出するようになります。それは仏教のみならず、神を崇拝する場合においても見られる姿でありました。
 本展では、女性の信仰に関する作品のうち、とくに近江に伝わる彫刻や絵画、書跡、工芸作品を
  <女性としてあらわれた神仏>
  <信仰する女人の姿>
  <捨財・結縁する女性>

の3つのコーナーで紹介し、確固たる経済基盤を背景に神や仏と積極的に関わろうとした女性の姿を浮き彫りにします。

<記念講演会>
 日時 平成19年10月13日(土) 午後1時30分より 
 場所 当館2F学習室
 講師 渡邊 愛子氏(仏典童話作家、京都光華女子大学非常勤講師)
 演題 「女性と祈りー信仰のすがたー」
   
<展示説明会>
  日時 平成19年11月3日(土) 午後1時30分より
  講師 当館学芸員

いずれも入館料のみで受講出来ます。貴重な機会ですので、是非お気軽にご参加下さい。

<おもな展示作品>
※期間中展示替えをおこないますので、詳しくは琵琶湖文化館のHPでご確認下さい。
①重要文化財 石山寺縁起巻第二、七二巻鎌倉時代・江戸時代石山寺(大津市)
②重要文化財 木造吉祥天立像一躯鎌倉時代園城寺(大津市)
③重要文化財 木造訶梨帝母椅像一躯鎌倉時代園城寺(大津市)
④重要文化財 木造護法善神立像一躯平安時代園城寺(大津市)
⑤重要文化財 絹本著色浄土曼荼羅図一幅鎌倉時代成菩提院(米原市)
⑥重要文化財 大島、奥津嶋神社文書のうち二通南北朝時代大嶋神社奥津嶋神社(近江八幡市)
⑦彦根市指定文化財 刺繍阿弥陀来迎図一幅南北朝時代唯称寺(彦根市)
⑧滋賀県指定文化財 紙本著色絵系図一幅南北朝~室町時代妙楽寺(東近江市)
⑨竜王町指定文化財 紙本著色絵系図一巻室町時代光明寺(竜王町)
⑩木造春庭慈芳像一躯江戸時代穀屋寺(近江八幡市)

特に園城寺護法善神堂に安置される三躯の像(作品番号②③④)を一度に揃って見ることが出来るのは(展示期間:10/16~11/9)なことです。この貴重な機会を是非お見逃しなく!!

展覧会名特別展『女性と祈り-信仰のすがた-』
開催期間10月6日(土)~11月18日(日)
開館時間9:00~17:00(但し入館は16:30まで)
入 館 料大人300円 高大生200円 小中生120円
休 館 日月曜日(祝日の場合はその翌日)12/29~1/3
問い合せ滋賀県立琵琶湖文化館 〒520-0806大津市打出浜地先 
 TEL:077-522-8179 FAX:077-522-9634








Posted by 滋賀の文化財 at 18:05 Comments( 0 ) TrackBack( 0 )

2007年10月06日

開催準備の裏側に潜入!

滋賀県立琵琶湖文化館で開催される特別展、オープン前の準備作業を
特別に見せていただきました。


展示される作品は、琵琶湖文化館の学芸員と、文化財・美術工芸品の搬送を専門に請け負うプロの運送会社が約2週間かけて、県内外の神社仏閣・博物館からお預かりしてきたものです。
(開封)              (展示作業)          (全体としてはこんな感じ)


担当学芸員の指示の中、次々と開封・展示されていく作業は、「これぞプロ!」の職人技の世界であり、淡々とした空気の中で静まりかえった展示室は、どこか厳かで、神聖なものに感じられました。

最近では琵琶湖文化館の廃止・休館問題が新聞紙面に掲載されるなど世間の関心を集めていますが、こうして滋賀の文化財の素晴らしさを伝える展示を企画してくれています。精一杯頑張る学芸員の方々の姿に感動を覚えつつ、特別展がとても楽しみになりました。
私が言うのも何ですが、乞うご期待です!



Posted by 滋賀の文化財 at 18:06 Comments( 0 ) TrackBack( 0 )

2007年11月06日

特別展見ドコロ知っとこ!

11月3日(土)大津市打出浜の滋賀県立琵琶湖文化館で開催された特別展の展示解説会に参加してきました。講師は琵琶湖文化館の井上さん。笑顔がチャーミングな女性学芸員さんです。

 先ず始めに女性がどのように信仰とかかわってきたのか、その時代背景や女性の立場などについて説明があり、続いて展示室に移動して実物を見ながら、詳しく解説を受けました。
 展示室には、女性が神仏に捧げた祈りの姿をあらわした仏像彫刻や絵画、書蹟など、奈良~江戸時代にかけての作品が展示されています。




【見ドコロその①】
「石山寺縁起 巻第七」(重要文化財)大津市石山寺所蔵
 この絵巻物は右から左へ3つの場面が描かれています。
(お話)一人の貧しい尼の娘が親孝行のために社寺を巡り歩き石山寺にも参詣しました。しかし明らかな効きめがなかったために娘はその帰り道、大津の浦で身を売ってその代金を母の元へ送ります。打出の浜から人買いとともに舟にのりますが、にわかに黒い雲が沸き立ち湖上には高い波が出て舟は荒波にのまれ沈みそうになります。しかし娘の必死の祈りが通じたのかどこからともなく白馬が現れ、娘を助けます。

娘の心情は琵琶湖の荒波や色にも表現されていると思いませんか?!最後には穏やかに澄んだ青色で描かれており、私もホッとしました。。。

【見ドコロその②】
「訶梨帝母(かりていも)倚像」(重要文化財)大津市園城寺所蔵
  訶梨帝母は鬼子母神(きしぼじん)とも言い、元は子供を奪って食らう悪鬼でしたが、釈迦によって自らの千人の子の中から末子を隠され、子を失う悲しみを諭されて、仏法と子供の守護を司る神様となりました。手には多産の象徴のザクロを持っていらっしゃいます。

ちなみにこの訶梨帝母倚像は、毎月第2土曜日曜に園城寺で催される「千団子祭り」にあわせてお帰りになるため、文化館での展示は8日までだそうです。見に行くならお早めに!


【見ドコロその③】
「熊野観心十界曼荼羅」
 江戸時代、熊野比丘尼がとりわけ女性を対象に絵解きを行った曼荼羅です。各地を巡る時に折りたたんで持ち運んだため曼荼羅には幅20cmほどの折皺が見受けられます。
(絵解き)「老ノ坂」には右下から左下へかけて四季の移ろいとともに人間の一生が描かれており、赤い鳥居をくぐる赤児が成人し、頂上で壮年期を迎え、坂を下るとともに年老いていき、やがて赤い鳥居をくぐるとその先には閻魔王による裁きがまっています。針山に追い込まれる人、畜生道に落ちた人、嫉妬に狂い蛇となってしまった女性がいる両婦地獄など、様々な地獄が描かれています。

血の池地獄の近くには女性を救済してくれる如意輪観音も描かれているので・・・またまたホッと胸をなでおろした私です。

他にも極楽往生するために作られた阿弥陀来迎図もありました。中には阿弥陀様とより強い結縁で結ばれようと女性の髪の毛で刺繍した来迎図などもあり、人々のすがるような思いがよく伝わってきました。

人がよりよく生きていこうとした生へのこだわり、祈りが強く感じられた今回の特別展。
11月18日(日)までの開催です。

今回の撮影は許可を得て行っています。館内は「撮影禁止」ですので、よ~く自分の目でご覧になって下さいね。詳しい写真は図録(1,200円)に掲載されています。 

Posted by 滋賀の文化財 at 18:58 Comments( 0 ) TrackBack( 0 )